Hold you in my life ever
| Vol.10 |
| 「…そうだな。何を今更、うじうじ考えてたんだろうな俺。アリスの言う通り、俺は俺なのに・・・」 ランサムと見比べて。 ホントのバカだ、俺って。 だけどアリスは、ふるふると首を振った。 「でも嬉しい。ウルはちゃんと私との事、色々考えてくれてたんだもの。これからのこと・・・」 また微笑んでくれた。 俺だけに。それだけでもう、俺は充分・・・。 「大切なもんは、もういらないって思ってた。失うのが怖いって思ってたから・・・けど、それじゃただの逃げだよな。なんにも始まらない」 これまでだって、アリスと出会ってからというもの、やるべきことをやってきた。 自分がこうしたいという思いのままに。 そしてその行動の結果に生まれる未来は、いったいどうなるのか分からないままに。 けれど、先が見えない事こそ未来だ。 不安で怖くても、立ち止まれない。時間は絶対に止まらなくて、自分たちは確実に、否が応でも未来へ進んでいるのだから。 だったら今、やるべきことをやった方がマシだ。 今できることを。そして、これからもずっと。 「アリス・・・、俺はお前を絶対幸せにする。アリスの父ちゃんと母ちゃんに誓うから」 「ウル・・・」 「俺、お前と生きてくって決めたんだから、守っていくよ。アリス、お前を・・・」 ウルは銀髪に顔を埋め、そして額に口付けた。 しかしアリスはウルから離れようとしたので、拒絶されたのかと思ったが、腕の輪から彼女を解放したりはしない。 「アリス？」 「・・・やだ、なんかすごくドキドキしてきたの・・・」 「そんなの、お前だけじゃないよ。こっちだってさ、その気持ちを抑えるのに必死で誤魔化して、はぐらかし続けてきたんだからな。ずっと」 「そう・・・なの？」 桜色に染まった頬にかかった髪を、ウルは優しく払い除けてくれた。 そして、ニッと笑った。 「当たり前だろ？好きな女とひとつ屋根の下にいて、何にも考えてないと思う？この俺サマが」 「・・・。思わない」 と、恥ずかしそうに言う前に、アリスの唇を塞いだ。 突然の事でアリスは目をぱちくりしていたが、ゆっくりと瞼を閉じた。 ――――今日からまた始まる。 今までの恐れも不安も抱えて、俺は前に進む。 大切で失えないものをたくさん抱えて。 彼女と一緒に。 これからずっと、ずっと・・・・・・・・・・
騒いで、はしゃいで盛り上がった祭が終わった夜。
・・・ＥＮＤ・・・ |
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